仙丈ヶ岳から間ノ岳経由で北岳へ(南ア)

いつものネット仲間と7月の連休を利用して、南アルプスの中央部に位置する仙丈ヶ岳から仙塩尾根を通り、ぐるっと半周北岳まで、2泊3日の縦走をしてきました。この行程、結構タフな距離にテント泊を予定していたので、水やその他装備に重量も嵩み、更に途中強風というオマケまでついて、ヘロヘロ。それでも何とか縦走達成に大満足な山行になりました。同行頂いた郭公さん、RINさん、どうも有難うございますm(__)m
山 名】 南アルプス  ←周辺地図
【日 時】 
2004年7月17日(土)〜19日(月)
【登山方法】テント縦走
【メンバー】RINさん、郭公さん、森の音
【天候及びコースタイム】 
7月17日(土)  晴れ のち ガス 風強し
自宅(20:00)=(2:10)戸台(6:35)=(7:15)北沢峠(7:30)―(8:30)3合目―
(10:00)森林限界−(12:20)仙丈小屋(13:15)−(13:55)仙丈岳−
(14:50)大仙丈−(15:50)2755ピーク手前ビバーク
7月18日(日) ガス 時々 雨 風さらに強風
ビバーク地(5:50)―(6:35)苳の平―(7:05)伊那荒倉岳―(8:50)横川岳−
(9:10)野呂川越−(11:40)2699ピーク(12:15)―(13:50)三峰岳―
(15:10)間ノ岳(15:25)−中白峰(16:35)―(17:05)北岳山荘
7月19日(月) ガス のち 晴れ 一瞬芸あり
北岳山荘(6:00)―(7:05)八本歯分岐デポ―(7:40)北岳(7:50)―
(8:17)デポ回収―(8:45) 八本歯コル―(10:30)二股−
(12:00)白峰御池分岐−(12:15)広河原バス乗場(12:30)=
北沢峠=戸台=自宅(22:00)
                    (このタイム記録はRINさんより拝借)

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一日目

金曜夜発、途中RINさん宅で1台の車に乗換え、深夜の中国自動車道、伊那ICで下車。戸台に2時過ぎに着いた時既に多くの車が駐車。我々も少し仮眠をとるため奥の駐車場に移動。5時過ぎ周りのザワツキで目が醒める。少しでも仮眠した分多少は身体が軽くなった。5時30分、小型バスに乗り北沢峠まで。約1時間、ザックを膝にかなり窮屈だった。運転手さんはガイドも兼ね、色々説明をしてくれる。鋸岳の偉容な形に目が奪われる。標高2000mの北沢峠。一気に1000m登った事だし、これより3000mの仙丈ヶ岳まで登る勘定だから休息をこまめに取らないと高山病に掛かりやすくなるから要注意だ。

戸台から見える鋸岳 戸台駐車場 戸台バス乗場

北沢峠は甲斐駒ヶ岳と仙丈への分岐点、多くの登山客で賑わっていたが、果たしてどちらが多かったのかな〜?
我々は仙丈ヶ岳目指して登り始めたが、RINさんが少し体調悪し。やはり睡眠不足とそれが要因か軽い高山病に掛かったのかな?
30分に一本かそれ以上のこまめな休息をとりながら、何とか体調を整える。元々丈夫だし高山にも慣れているから徐々に馴らしていけば良い。その点で我々もやや安心だった。
4合目を過ぎ、5合目の大滝の頭を過ぎた頃より森林限界も終り。これよりハイマツが現れる。後ろを振り向くとそこにはドンと構えた甲斐駒ヶ岳の勇姿が大きく目の前に座っていた。天気も良し!あれほど暑かった都会の気温に比べればここは別世界!
風が強かった。でも、この風が翌日とんでもない大風になるとは予想だにしなかった。
やっと2855mの小仙丈ヶ岳に到着。伊那の町が見え、中央アルプス、八ケ岳も見えた。そして少し登った処から右の仙丈小屋へのコースを取る。

2合目での元気な様子 後方、甲斐駒ヶ岳(拡大 伊那の町が見える

12時20分仙丈小屋到着。ここで食事。水もある。食後、ここで宿泊か又は明日の行程を少しでも前進かを打合せる。
明日は長丁場、しかもここで沈殿とはチト早過ぎる。RINさんの体調もだいぶ回復したようだし、それじゃ〜進むかと決断。
途中のビバーク用の水3リッターを補給し、ザックも重くなった。約1時間休憩後出発。ガスが一面立ち込めてきた。

右下に見える仙丈小屋 小屋から稜線を登ると仙丈岳 食事をするRINさんと郭公さん

砂礫の稜線伝いを登ると仙丈ヶ岳3032mのピーク。ガスで視界なし。山頂で出会った夫婦に記念写真を依頼。
これより仙塩尾根に入り暫くすると樹林帯。風も遮られ歩きやすかった。ただ尾根に出た時は横風強し。
できれば苳ノ平と思っていたが、RINさんがまた頭痛を訴えてきたので、大仙丈ヶ岳を越えた2755ピーク手前で今日はここでビバーク。時間も午後4時前であった。

仙丈ヶ岳山頂

風の当たらない場所と、できれば平坦な場所という事で少し斥侯。幸い適当な場所が見つかる。その地点は高山植物もなく、以前誰かが使ったのか整地されていて極めてビバークには最適なポイントだった。
テントに入ってすぐ食事とも思ったが疲れきっているので、少し寝ようと意見一致。外は未だ明るかった。私と郭公さんは水割りの焼酎で軽く一杯。RINさんはバッファリンを飲んですぐ寝る。何時の間にか3人ともウトウト。私が目が醒めた時はもう10時過ぎ。風がきつくなってテントを叩いていた。少し外に出て用を足し、テントが飛ばされないようにペグを再確認。雨混じりの強風になっていた。それから又爆睡。とうとう皆と同じように夕食抜きで睡眠を優先したのでした。

二日目

朝、4時過ぎ起床。良く寝た〜(^-^)   雨混じりの天気であった。
昨夜食っていなかったので腹が減った。ザックから色々腹持ちするものを選んでパクパク。RINさんは頭痛も治まり、食欲も復活。郭公さんは、身体に似合わず割と少食。燃費が良いのだろう〜。それに比べわたしゃ〜・・・・・(^ ^ゞ ポリポリ
さて、今日は何処までいくか?現状況だと野呂川越まで行き、そこで両俣小屋か或いは予定通り進むかその時の状況を見て判断しようと決定。
朝の身支度も一通り終え、5時50分出発。
一面ガスで靄っていたが、樹林帯の中を歩いていると幻想的な雰囲気であった。

樹林帯を歩く 幻想的な雰囲気 横山岳から野呂川は左直角に

苳の平を過ぎた処で昨日4時過ぎ我等のデポ地を通過した人と思われるツエルトがあった。郭公さんが「おはよう〜!」と声を掛けると何と違う人だった(^ ^ゞ  「こんな天気でも進むの〜?」と返答が返ってきた。「雨もまた楽し!ですわ〜(^-^) 」とお返し。
樹林帯と云えども結構アップダウンが多い。伊那荒倉岳の過ぎた水場の個所にも単独テントが二張り。テント禁止と看板があったが長尾根に悪天候ゆえ致し方ないでしょう〜(^^)
独標、横山岳を越え、野呂川越に到着。9時10分。さて両俣に下るか進むか?雨も止み今の調子だと進むに何ら問題なく予定通り前進しましょ〜。
これから三峰岳(2999m)まで700mの登りの連続。焦らずユックリと行きましょう。相変わらず樹林帯が続く。
2699ピークで昼食。ここで単独者と一緒になる。彼も北岳まで行くとか。食後先に出発する。我々も数分遅れで出発。
樹林帯も終わり潅木帯に入った頃より一段と風の強さが増してきた。と云うより元々風がきつかったのだ。
岩頭の三峰岳(2999m)を前にして烈風吹き荒ぶ嵐のようだった。風速23mの台風並の凄さ。立って居られないような風。
私のザックカバーもアッと云う間に谷の彼方に〜!郭公さんも帽子を飛ばしかけたが何とか捕まえる。
岩をしっかり掴み体重移動が難しい。笑っていられないような風だけに恐怖感も出てきた。絶対尾根に立たず少し谷川に歩く事。さもなくば風に吹き飛ばされてしまうからである。一瞬の突風ではなく連続して長野県側から吹き上げていた。
多分、これは新潟、福井で大雨を降らせた前線が未だ停滞し、その影響と思われる。
先客の単独者も三峰岳ピークの裏側でうずくまっていた。「いや〜強烈な風ですね〜!」
風向きに歩く時、息苦しくなる。バイクで時速100キロ走る風圧と同じ現象だ。思わずカッパのフードを深く被り、口をそのフードで押さえると息苦しさから解放される。

鎖場(三峰岳の手前) 岩稜を歩く 間ノ岳山頂

お互いの姿を確認しながら少しつづ前進。間ノ岳から中白根山に至る稜線沿いに入るともう風除けはなし。
もう怖いからと云って引返すより進むしか方法なし。休むも風除け場所を探すのが大変。
こうして北岳山荘近くまで2時間、風との戦いだった。ガスに覆われ視界悪し。
ケルンが途中道案内をしてくれ、視界不明な時に役に立つ。勿論GPSは持参しているので方向はしっかり確認済み。
北岳小屋に5時着。この風でテントを張るのは難しい。では小屋泊りか?中に入ると人で混み合っていた。通路といわず何処も満員。どうしようか〜?郭公さんが再度テン場視察に行く。あった!トイレの前だが一つ空いていた。ラッキー\(^O^)/
トイレもバイオトイレなので匂いもしない。しかも風上なので好都合。早速テントを張り寛いだ。
今日は食うぞ〜!腹一杯食べて飲んだ。明日は下山。ガスが切れた中、甲府の夜景が綺麗に見えた。
夜中、少し雨がパラパラ降ったが風も時折テントを揺さぶる程度だった。

三日目

4時頃、周りのざわつきで目が醒める。さて天気の様子はどうだろうか?相変わらずガスの中。それでも早立ちの人も多かった。
トイレも済ませさあ〜飯だ飯だ!今日の水は途中の沢にあるから必要な分量だけ。出来るだけ身軽にしなくっちゃ〜。
6時テント撤収後出発。今日のコースは八本歯経由の左俣コースで下山。途中八本歯手前のお花畑に咲く花は綺麗だった。写真を取りながら進む。分岐にザックをデポして北岳アタック。昨日までの風はなかった。ガスッているから視界はなし。

北岳小屋の出発前 タカネツメクサ お花畑の横を登って行く

急に身体が軽く足取りも軽やかだった。頂上から下山する人とすれ違いの待ち時間も多くなる。親子連れも多かった。
高度感に慣れぬ子供が母親に「ゆっくりゆっくり深呼吸〜!」と励まされていた。
山頂は大勢の人で満員だった。それでも見えぬ景色を今か今かと待ちうけていた。
突然、あれほど厚く被さっていた頭上のガスが徐々に切れ始め、青空が出始めた。一瞬だが遠くの山が見えた。太陽がガスの切れ目より顔を出し、それに伴ってブロッケン現象が発生。「あっ!ブロッケンだ!」。RINさん、郭公さんが手を振ると谷間のガスに映し出された虹の輪にボーっと人が手を振っているのが見えた。慌てて写真を撮ったが間に合わなかった。まさに一瞬芸だった! 皆大満足。まさか晴れるとは。暫く再度の期待を込めて待ったが晴れなかった。

北岳山頂 ブロッケン現象(微かに見える?) あんな所に!(拡大

下山は空身の為あっという間に分岐点に到着。
これより左俣コース下山。急な梯子を何段も降り始める。滑りやすいので要注意。バットレスが見えてきた。ガスも晴れ、岩場に取り付いている何組かのクライマーの様子が間近に見える。昔、北岳に登った記憶があったがガスの為印象に残っていない。見れて良かった〜\(^O^)/
大樺沢を登ってくる大勢の登山客が真下に見える。結構しんどそう〜。山頂は未だガスに包まれているが、その下は晴渡っていた。暑い!段々と二人に離されてきた。膝が少し痛むようになりスピードが出ない。足がヨレヨレになってきた。注意、注意!
捻挫する場合、こんな時が多い。過去の経験上。 雪渓も沢山残っていた。途中二俣付近で中年女性が寝ていた。多分熱中症か高山病に掛かったのだろう。付き添いの女性が心配そうに傘で覆っていた。この暑さと登りで参ったのでしょう?
この日は殆どヒイヒイ云いながら登っていた。

鳳凰三山(拡大 正面から見た北岳バットレス(拡大 大樺沢を下る

しかし、そう云う私もゆっくり下山出来ない事情があった。広河原発北沢峠行きバスが12時30発。何とかこれに乗りたい。
それで、途中から私が先頭にさせて貰い、30分に一本の休憩を必ず取るので後は「頼むで〜!」と。
こうなると気力の勝負。30分と決めるとこの間ガゼン頑張れる。30分経つとヘナヘナ〜(^ ^ゞ ポリポリ また30分、また30分。
この連続に膝の痛みも忘れ、途中から駆け足状態。これが六甲縦走で何度も経験済み。所謂インターバル走法か?
アッと云う間に広河原バス停に到着。12時15分であった。この後ヘナヘナ〜(^ ^ゞ ポリポリ

広河原手前の沢沿い 吊橋を渡ってファイナル 村営仙流荘で汗を流す

定刻通り広河原から2台出発。北沢峠で乗換え戸台に到着。
ここでDさんと遭遇。彼は鋸岳に単独で踏破してきたとか。あの戸台の正面に見えるギザギザの山だ。
我々から数十分遅れでSやんとも合流。彼は一泊二日で甲斐駒〜アサヨ峰〜早川小屋泊、鳳凰三山ピストンで白凰峠より下山。途中我々のバスに乗るつもりがバスの運行が早く乗り遅れたとか。仕方なく広河原に歩いて戻り、臨時バスで戸台に戻ってきたという。この二人、いずれ劣らぬ健脚振りに唖然。
この後、近くの村営仙流荘で汗を流す。500円。
自宅に戻ったのがPM10時過ぎでした。

同行頂いた郭公さんのHP

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