後立山連峰(八方尾根から針ノ木岳)縦走
30年前、このコースの一部を歩いた事がある。が何故か記憶にあまり残っておらず、もう一度挑戦となればもっと意欲的に歩いてみたいと思った。
少々ロングコースとなるが、天気さえ良ければ充分可能だ。そこでお互い気心知れた山仲間3人と9月の連休を利用して行ってきました。
山 名】 後立山連峰  ←周辺地図
【日 時】 
2004年9月18日(土)〜20日(月)
【登山方法】小屋泊まり
【メンバー】どんかっちょ!さん、millionさん、森の音
【天候及びコースタイム】 
9月18日(土)  晴れのち曇り
自宅(21:00)=(2:00)ゴンドラ前=(7:30)始発)―八方ケルン(8:30)―
唐松山荘(10:30)−五竜山荘(14:00)
9月19日(日) 雨、強風後晴れ
五竜山荘(5:30)―五竜岳(6:26)―キレット小屋(9:10―鹿島槍北峰(10:58)−
鹿島槍南峰(12:10)−冷池山荘(14:00)ー種池山荘(14:17)
9月20日(月) 晴れ 
種池山荘(4:30)―ご来光(5:38)ー新越山荘(6:38)−鳴沢岳山頂(7:24)−
赤沢岳(8:04)−スバリ岳(9:46)−針ノ木岳(10:46)−扇沢(14:20)
イメージ展望図

画像クリックで拡大します
9月18日
前夜泊の予定で、深夜2時過ぎ、八方ゴンドラ駅前駐車場に着く。もう沢山の車が始発7時30分待ちで仮眠していた。
早速我々も車とテントに別れ、仮眠する。
6時頃から周りのざわつきに目が醒め我々も出発準備に入る。駐車場の係りの人が駐車代金の集金に来る。3日分1500円を払う。
始発1時間前から乗場付近に列が出来出来始めた。今日から連休、大勢の人達が山に入るのだな〜。
我々も効率良く切符売場と乗場に分散して並ぶ。先頭集団の列に入っていた。
いよいよ出発時間。今日は客が多いのかやや早めの運転開始。そのお蔭で始発5分前にゴンドラに乗れた。
天気予報では本日晴れマーク。高度を上げるに従いガスが立ち込めてきた。しかしガスも一部で途中で消える。
ゴンドラからリフトに乗り継ぎ、いよいよ核心部八方池山荘に着く。これより山頂目指して歩くのみだ。
駅から見下ろす下界は雲に覆われていたが、遠く妙高、戸隠の山が雲海上に見える。またついこの前火山爆発した浅間山もハッキリ見えた。噴煙たなびく山にすぐ解った。
第2ケルン、第3ケルンと高度を稼ぐとそこに八方池があった。風が少しあったので湖面が漣が立っていた。
その目の前に大きく横たわる不帰キレットの一峰、二峰、三峰の荒々しい岩峰が威圧感で覆い被さってきた。
写真を撮るのに余念がなかった。出来るだけ八方池を入れて、出来れば池に写る不帰ノ嶮を考えたが波が立ち無理な注文だった。
遠く浅間山の噴煙が見える ナナカマドの赤い実と妙高、戸隠 八方池と不帰ノ嶮
これより約1時間30分程登れば唐松岳頂上山荘。10時30分だった。既に出発した人が大半だったので、山荘には人が少なかった。腹が減ったのでパンをかじる。
暫く休んで空身で唐松岳をピストンする事にした。山頂まで約20分弱、大勢の人が登っていたが生憎ガスで視界不能。暫く晴れるのを待っていたが諦めて下山に入る。この途中より立山側から吹き上げる西風が強くなり南側の山域のガスを吹き飛ばし、視界が大きく広がってきた。これは幸先が良い!
よし、これから五竜目指して先を急ごう。果たして今日は五竜小屋迄か或いはキレット小屋迄行けるかどうか?
暫く痩せ尾根が続く。中年の女性がおっかなびっくりで前を歩いていた。岩にしがみつき、身体を離さないから却って危ない。どんさんが見るに見かねて注意していた。岩場歩きに慣れていない人によくあるパターン。いつまでも待っていられないから先を急がせて貰う。
ガスが痩せ尾根を幻想的な雰囲気を演出していた。歩いていても楽しかった。白岳を越えるとやがて薄らと五竜小屋が見えてきた。丁度14時。さて今日の行動はここまでか。内心キレット小屋まで強行できるかどうかを思案していた。
コースタイムによれば、5時間となっている。難度の高い岩場が続くので時間短縮も難しい。ましてヘッ電付けて歩くには危険が多すぎる。止めよう!早速小屋に入り手続きをする。一泊2食付きで8600円。今までテント泊が多かったので高いという印象が強かった。でも重たい荷物を持たずに歩けるから代え難い。
我々が到着した時間が早かったのでまあ〜普通かと思いきや、何と何と次々小屋に到着する人で膨れ上がってきたではないか。もう満杯もいいとこ、超超満杯になった。定員300名のところ400名以上にも。食事も4時から1回40人入れる食堂に延々と9時過ぎまで交代案内の大声が響く。蚕部屋に仕切られた定員16名に20名。勿論、横になれどもお互いの足がぶつかり寝る状態ではない。それでも次々人が増えてくる。何と言う混みようだ。廊下といわず少しでも隙間があれば人が寝ている。もう最悪であった。その為か疲れていたにも拘らず朝まで一睡もできず。モウロウとする頭の中で二度とこの小屋に泊まりたくはないと心に誓った程だ。でも、小屋が悪い訳ではない。やはり連休という事情では覚悟せねばなるまい。それとも、唐松岳に行かなければキレット小屋まで充分可能性はあったかも知れぬなぁ〜・・・・。
翌日、キレット小屋で確認すると、何と20名だったという。20数名の団体さんがキャンセルし、五竜小屋に泊まったとか。同じ経営者なので無線で連絡入ったそうな。あ〜あ〜・・・・・。
唐松岳より山荘と五竜方面を見る 大黒岳周辺の岩場(拡大あり) 五竜方面に向かって(拡大あり)
9月19日
早朝、5時からの食事に4時から並ぶ。出来るだけ早く出発したかったからだ。弁当にすればもっと早く出発できたが生憎朝から雨模様の天気予報だし、すぐ岩場になるから暗い濡れた岩場は危険が多すぎる。だから5時30発と決めていた。この雨で五竜岳に進まず遠見尾根を下山するグループも多いだろう。我々の後は誰も来なかった。
暫くヘッ電を付けたがすぐ周りが明るくなってきた。やはり5時30発で正解だった。
岩場が続き、雨で滑りやすいから十分注意しなければなるまい。やがて6時26分、五竜山頂に到着。後から単独で歩いてきた人に写真を撮って貰う。周りの視界はなし。この時点で小雨となるがかなり強風が吹いてきた。
ここからG4とG5の岩場。鎖もあり。雨に濡れた岩肌が冷たく、鎖も滑りやすい。手袋を出し保温と滑り止めに活用。
一つ一つ慎重に岩場を乗り越える。強風に身体を持っていかれそうな時もあった。millionさんの帽子が飛ばされた。
どんさんのザックカバーがバタバタとザックから捲り上がっている。私は先月南アルプスの間ノ岳で同じ経験をした。
その時はザックカバーを飛ばされた。今回はその経験が生きている。どんな強風にも対処する方法をマスターしていた。間もなく天候も回復し出し、突然目先の景色に虹が発生。うわ〜綺麗だな〜〜〜!!
口ノ沢ノコルを越えると岩場と岩場の間にキレット小屋が見えてきた。よくこんな所に小屋を建てたものだ。9時10分着。
五竜山頂にて おお〜虹だ〜!(拡大あり) キレット小屋(拡大あり)
小屋からお兄さんがニコニコと顔を出していた。聞けば昨夜の泊り客は20名。天候が悪くキャンセルも多かったとか。綺麗に改装され居心地が良さそうな小屋だった。トイレを拝借し短い休憩で先を急ぐ事にした。
すぐに急な登下降が始まり鎖や梯子の連続である。かの有名な八峰キレットだ。幸い雨も止んでいたから足下に注意しながら慎重に進んだ。10時58分鹿島槍北峰に着いた時は完全に天気が回復しガスも一部を残すだけになっていた。鹿島槍南峰はガスで見渡せず。双耳峰の容をなす北と南の峰だ。その中間に吊り尾根がある。
その間25分で行ける。一般的に南峰が多く、布引山からなだらかな山を登ってくる人が多いからだ。
鎖と簡単な足場だけ(拡大) 断崖絶壁の難コース 所々に雪渓が残っていた 北峰山頂
あと鹿島槍南峰までもう少し。さあ〜着いたぞ。12時10分だった。
腹が減ったぞ〜!さあ〜メロンパンを食おう。あれ?何やらDOPPOさんらしき声がする。うわ〜DOPPOさんだ!
実は、この山行計画前に夫々別々の場所から山に入るので、鹿島槍あたりで合流し、互いにキーを交換しようと打合せていた。
そうする意味は、デポした車を共に回収する手間が省けるからだ。しかし、当初悪天候が予想されたので急遽DOPPOさんから中止するとメールで知らされていた。が、天候が思わぬ早さで回復すると解るや否や一日遅れで扇沢から種池経由でこの鹿島槍まで飛ばしてきたという。流石素晴らしい健脚の持ち主だ。勿論行くとメールを送信してくれていたが我々には残念ながら電波が届かず知る由もなかった。
我々は今日はできたら冷池でなく種池小屋まで行きたい。DOPPOさんはキレット小屋まで、楽勝だ。
無事キーを交換し別れる事にした。
鹿島槍から布引山へはなだらかな下り。鹿島槍に登る人も多かった。そして冷池まで更に下り。紅葉で山が色付いていた。今年は早いのかな〜?
冷池山荘にに丁度14時に着いた。でも五竜山荘と同じように混雑が予想されていた。種池の方が空いているという。
よし、頑張って次の小屋迄行くとしよう!もう五竜の混雑に飽き飽きしていたからだ。
鹿島槍にてキーを交換 鹿島槍を振返り 冷池山荘が見える
冷池山荘から種池までコースタイムは2時間20分となっている。しかし山荘の方に聞けば皆さん大体2時間位で歩いているという。種池山荘と同じ経営者なので無線で予約を入れて頂いた。少なくとも4時過ぎには着けるだろう。

短い休憩ですぐ出発。冷乗越しを過ぎると遠く尾根沿いの右に種池山荘が見えた。「あっ、あそこに見えるや!」
急に元気が出てきた。
爺ヶ岳の登りにゆっくり呼吸を整えて登る。そんな急な登りでもないが少し疲労も出てきたからだ。
すっかり山の紅葉が始まっている。尾根から広がる黄葉が一段と綺麗だった。爺ヶ岳山頂に15時38分着。
あと30分で今日の宿泊地種池山荘までもう少し。
振返ると鹿島槍と黄葉が綺麗だ 前方に種池山荘が見える 本日の夕食
9月20日
今日は天気も良さそうなので早出しよう。しかも針ノ木岳経由で扇沢に下山。コースタイムだと約11時間。昨夜と同じく長丁場。弁当を頼んで4時30分発にした。
真暗闇の中、ヘッ電を頼りに登山道を歩く。道はしっかりしているから迷う心配がない。山荘を出てから約1時間の所でご来光が見えた。
5時38分、雲の中から薄赤に染まった太陽が顔を出してきた。暫し写真モード。
さあ〜またひと踏ん張りして岩小屋沢岳を目指そう。5時51分山頂着。丁度このあたりで朝飯にしようか。
山荘で作って貰った弁当はちらし寿司。美味しいね〜(^-^)
右に剣、雄山の立山連峰の勇壮な姿を常に見ながらの縦走。我々の歩いているのが後立山連峰と呼ばれる。これは信仰登山の中心として立山連峰に対しその後に位置するから後立山と伝えられているそうな。その謂れを見ても何故か頷けそうな立山とその後の関係。
やがて新越山荘に到着。6時38分。今しがた出発したグループを見送っていた。ここも昨夜30名の宿泊者とか。
やはり混雑するところと空いているところがあるのだな〜。これから注意して下調べの必要ありだな(^ ^ゞ
爺ヶ岳の横からご来光 立山連峰。左雄山で右が剣 手前新越山荘から鳴沢、赤岳、スバリ
鳴沢岳の登りは岩場もあり急な登りだった。でも短い。痩せ尾根が繋がっていた。7時24分鳴沢岳山頂。天気も良し。赤沢岳に8時04分着。
ここで初めて黒部湖が眼下に見えた。前々から山頂から見たいと思っていた湖。やっと念願叶う。
これよりスバリ岳には大きな登り返しが待っていた。1時間30分掛かる。結構疲れるね。
岩山だった。この山頂からは黒部湖は真下に見える。天気が良いから眺望抜群。黒部ダムも見えた。
スバリから針ノ木岳まで約1時間。種池からここまで登っては下り登っては下りの繰り返し。些か疲れるよ〜(^ ^ゞ
10時46分やっと針ノ木岳に到着。ここで少し長い休憩をとる。目の前に蓮華岳がどっしりとした山容を誇っていた。
遠く水晶、烏帽子等々の山々が重なり合っていた。
さあ〜後は下りのみ。針ノ木小屋で少し腹ごしらえをして、針ノ木雪渓を下る。雪渓は少ししか残っていなかった。
結構長い下り。日差しも暑く、雪渓の沢水で顔と頭に水をかける。冷たくて気持ち良かった。
巻き道も沢山あり。この間約3時間弱の長い長い下り。少し膝に負担がかかりそうだった。
14時20分やっと扇沢に到着。ご苦労様でした。
赤岳山頂より黒部湖(拡大) スバリ岳から針ノ木岳へ 針ノ木小屋と蓮華岳
この後、お約束の車回収。DOPPOさんに連絡すると彼も時間通りに下山。そして今こちらに走っているとか。
お互いロスなく合流できた。
そして一緒に大町温泉郷で汗を流す。そして帰途につく。
今回、楽しい充実した山行になりました。同行して頂いたどんかっちょ!さん、millionさん、そして途中合流のDOPPOさん、どうも有難うございましたm(__)m
同行したどんかっちょ!さん及びmillionさんのHP記録
途中合流したDOPPOさんの記録

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